〈4/25-〉「時」―7人の作家による―
時ー7人の作家による ー
J・ケージ、S・フランシス、今尾栄仁、大野浩志、黒岩知里、シーズン・ラオ、藤田修
2025年 4月25日(金)-5月25日(日)12:00~18:00 月・火休廊(*4月29日火祝は休廊) 主催:ギャラリー白川
【GW期間中の営業と代休について】5月5日(月祝)、5月6日(火祝)は営業(*5月7日(水)は代休日といたします)
私が初めて平面作品の中に「時」を感じたのは、J・ケージの煙シリーズでした。
―平面の作品の上に写し取られた煙は、止まっているのに、ゆらゆら揺らいでいるように見える。この煙の揺らぎが加わることで、作品が立体的に見えてくるだけでなく、揺らいでいる時間の流れを感じることで、平面に描かれた世界は、三次元の世界を超えて四次元の世界へと広がりを見せるのだ―(「ジョンケージ作品解説書」2005年ギャラリー白川刊より)今から30数年前、ケージの作品を日本に紹介して以来、美術表現での「時」というテーマが私の心の片隅にいつもありました。今展では、ジョン・ケージの煙シリーズの代表作「THE MISSING STONE 1989」、空間に躍動するサム・フランシスのモノトーン作品「UNTITLED 1986」、宇宙と自然の相似性を色彩と線で描く今尾栄仁、「在り方、現れ方」と名付けたミニマルでシンプルな手法による偶然性と時間を表現する大野浩志、墨の滲みによる広がりを巧みに表現する黒岩知里、悠久の自然の中へと誘うシーズン・ラオ、時間の経過とともに変化する風景の中での光の変化を捉えた藤田修など、7人の作家の作品を展示いたします。どうぞご高覧くださいませ。

写真:
J・ケージ
【参加作家】
ジョン・ケージ
アメリカを代表する作曲家。1945年カリフォルニア大学でシェーンベルグに師事。1954年コロンビア大学で鈴木大拙に禅を学 ぶ。1952年『4分33秒』を発表。独特の音楽論や表現によって、音楽の定義をひろげた。また、20世紀を代表する思想家でもある。 その思想はジャスパー・ジョーンズやラウシェンバーグ、ステラをはじめとする20世紀後半の現代美術の作家に多大な影響を与え てきた。晩年はケージ自らもチャンスオペレーションによるビジュアル・アーツ作品を多数手がけている。ギャラリー白川は、これら ケージの晩年のビジュアル・アーツ作品を個展等で多数紹介してきた。ハーバード大学教授。1989年京都賞を受賞。
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S・フランシス
空間の中に色彩が飛び散る画風で知られるアメリカの画家。作品には日本美術の影響 も見られ、日本の文化人とも交流があった。出光美術館その他、多くの施設に収蔵されて いる。
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今尾 栄仁
京都生まれ。京都市立芸術大学大学院絵画専攻日本画修了。2001-2019年京都日本画家協会。
日本画をベースに独自の技法を用いて、森の木々や水の流れ、風や空が繋がり合う自然の中にある気配を心の中で熟成させ、そこから滲み出てくる心象風景をテーマに、描き続ける。近年、そのテーマは宇宙の中の相似的な世界の表現へと広がる。
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大野浩志
大阪府生まれ。大阪芸術大学工芸科卒業。
プルシャンブルーの油絵を塗り重ねることによって、時が作り出す絵の具の変化を視覚化させた作品を発表。ミニマルな手法から生まれる偶然性と時間を取り込んだこれらの作品は「在り方・表れ方」と名付けた。彼のライフワークに、30数年、現在もプルシャンブルーで毎年塗り重ねてられている作品がある。
代表的な展覧会:「時間・美術」1994年滋賀県立美術館
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黒岩 知里
京都生まれ。京都教育大学教育学部特修日本画科卒業。日展会友、新日春展会友、京都画家協会会員、青塔社会員。日展、個展を中心に国内外で活動。
岩絵の具を使った日本画だが、墨を飛ばしてできた偶然の形を取り入れたり、金属、新聞紙といった素材も抵抗なく取り入れて表現する。日本画の素材である岩絵の具を用いた現代アート。
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シーズン・ラオ
1987年ポルトガル領マカオ生まれ。マカオ理工大学卒業。2009年に制作した映像作品により歴史的建造物群が再評価・保持されたことが芸術活動の契機となった。2010年から北海道を拠点とし、自然現象の「虚実相生」から着想を得て、雪や霧などの自然の風景が作り出す「余白」の美しさを和紙に写しとった平面シリーズを発表。 2020年から京都に拠点を構え、人間と物象の間にある主体/客体、外部性/内面性の境界を越えた「容中律」インスタレーションを展開。2023年には、ニース国立東洋美術館にて、22.3mの大作を含む半年にわたる個展が開催された。
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藤田 修
横須賀生まれ。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。
1985年第2回カポ・フリオ版画ビエンナーレ/名誉賞。1990年18回日本国際美術展/ブリヂストン美術館賞。1992年第21回現代美術展/国立美術館賞。1993年第21回現代美術展/和歌山県立美術館賞。美術館にコレクションされた作品の数は154点にのぼる。
新しい版画の技法「フォットポリマーグラヴュール」を用いた近年の柔らかで深みのある「黒」の世界は魅力的である。
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主催:ギャラリー白川